怖話動画・題材シナリオ

消費者トラブル体験マシーン アトムシ
元々は少しでも収入が増やせればと思っていただけだった。「月収が100万増えます」という文言を鵜呑みにし、資料請求したことがそもそもの過ちだった。専用パソコンと教材費合わせて90万円がかかると言われ躊躇したものの、「稼いだ収入から支払える」と言われ契約してしまった。もちろん届いた情報は役に立たず、ただ金を支払っただけ。
明日からどう生活していけばいいんだ。周りが見えなくなってしまっていた私の脳の片隅には、死がちらつき始めていた…。

「……いかがでしたか?」
VR型の機械を外されながら、私は目が覚めた。
「ここは…?」
「消費者庁が運営する施設ですよ。今まで見ていたのは、この消費者トラブル体験マシーンが作り出した脳内映像。トラブルに巻き込まれやすい体質かどうかを機械でテストしていたんです。いかがでした?」
「ああ、そうでした。私は脳内の世界で騙され、今にも死ぬところでした」
「そうでしたか。このVRでは、体験者の精神を分析し、その人が歩む最悪のルートを見せる構造になっています。そんな体験をされたということは、相当騙されやすい体質にあるようです」
「いやー勉強になりました」
「疲れていたりするとより騙されやすくなるのでお気を付けください。…ちなみに、騙されやすい方に、現在の自分の騙されやすさを判断してくれる簡易チェッカーをお勧めしてるんですがいかがでしょう?3万円になります」
あんな思いは絶対したくない。私は簡易チェッカーを購入し帰路に就いた。

男が去ったあと、先ほどの職員が独りごちていた。
「仮想世界で大損する映像を見せて不安を煽り、現実世界でつまらない商品を購入させる。我ながらいい商売思いついたな。簡易チェッカーもなんてことないただのメーター。さっきひどい目に遭ってるから3万ぐらいなら安く感じるのか買ってくれる。結局、騙される奴は騙されるってことだな」

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