怖話動画・題材シナリオ

偽造 佐々木 逸人
「え?」
画面を見て、蓮はおもわず声を上げた。

『ご登録ありがとうございます』

いつものようにネットを漁り、サイトを開けば、この文字が画面上に現れた。

『もし、誤操作により登録した場合には、登録以降四時間以内に、ご連絡ください。
尚、契約に基づき、登録日翌日以降は請求対象になりますのでご了承くださいませ』

少しは驚いたが、すぐに落ち着いた。
「あほか」
古典的な詐欺の流れ。
すぐにそのページを消した。

◆◆◆

数日後。
ポストを見たら、一通の封筒が入っていた。
中身を見たら、数日前に見た詐欺の請求書だ。
蓮は信じず、請求書を捨てた。

◆◆◆

翌日。
またポストに、同じ封筒が入っていた。
今度は二通だ。
蓮は奇妙に感じるも、ゴミ箱に捨てた。

◆◆◆

翌日、また翌日、さらに翌日。
ポストには日に日に同じ請求書が、数を増やし毎日送られてくる。
「ここまでするか……?」

◆◆◆

翌日。
恐る恐るポストを見ると、今度は一通だけ同じ封筒が来ていた。
「一通だけ……?」
疑問に思い、息を呑みながら封を開ける。

『ご請求の期限が過ぎております。本日以内にご連絡がない場合は、法的措置に移行します』

流石に見過ごせず、蓮はパソコンを開き、調べることにした。

『請求書が何枚も来て、問い合わせてみたら───本物でした』

体から、一気に嫌な汗が出てきた。
「うっそ……」
戸惑うも、俺は躊躇しつつ、ゆっくりと電話をかける。
「もしもし」
「……もしもし、あの、退会したいんですけども」
「はい、退会希望ですと、退会料金が掛かります」
言われるがままに料金を振込み、そこから請求書は来なかった。

◆◆◆

数日後。
携帯を見ていたら、衝撃の記事を見つけた。

『今、請求書を何枚も送り付け、ネットでそれが本物であると偽物の記事を載せる架空請求の詐欺が増えている』
※東京都消費生活総合センターからのコメント 実際には作品のように、サイトを開いただけで被害者の住所や氏名が事業者にわたり、請求書が届くことはありません。登録画面等で個人情報を手に入れたかのような嘘の情報を伝え、焦った消費者が電話やメールをしてしまうことで、初めて事業者の手に個人情報が渡ることになります。

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