怖話動画・題材シナリオ

サクラにご注意を 鈴木 絢女 (東京家政学院大学)
私は、家でネットショッピングのサイトを眺めていた。探しているのは化粧水。今、使っている物が無くなる為、そろそろ新しい物を買いたいと思っていた。平日は忙しく、休日は家で休みたい。その為お店へ買いに行く暇がない。そんな私にとってネットショッピングは、とても使いやすい物だった。欲しい商品名を検索すれば、自動的に最安値の物や、オススメを表示してくれる。その為、だんだん私は日々の買い物もネットショッピングだけで済ますようになっていた。

後から考えれば、この時の私はネットショッピングの良い所しか見ていなかったんだと思う‥。

「化粧水‥っと。検索!」
何万件とある化粧水がオススメ順で次々に表示されていく。その中で気になった物を見比べて、候補をいくつかに絞っていく。
「うーん。値段も性能も似たような物だし、どれにしようかな?」
悩んだ私は、口コミを見る。すると、A社の化粧水には沢山のコメントが書いてあった。
「とても使いやすくて良いです。星4」
「使って1週間でお肌がモチモチになりました。星5」
など、沢山の高評価コメントが書かれている。それに比べて、他社の物は高評価の口コミがあるにはあるが、数件しか書き込まれていなかった。私は悩んだ末、高評価の口コミが沢山ある物を購入した。

【後日】
「何この化粧水!ちっとも口コミの内容と違うじゃない!全然モチモチになんてならない!お金返して欲しい!」
彼女は鏡の前で、以前よりガサガサになった肌を見つめながらそう叫んだ。

■とある部屋
真っ暗闇に包まれた部屋を、不自然に無数のブルーライトが照らしている。そこには、部屋の壁を埋め尽くす程の沢山のスマートフォンが縦と横に隙間なく並べられ、奇妙な事に、それらは誰の手にも触れられる事なく、ただひとりでに動いていた。口コミを大量に書き込む為に‥。

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